- 回転寿司は、日本の飲食業界で非常に人気のある形態のひとつです。
- サンショー工芸の代表は回転寿司の草創期から店舗設計で多くの回転寿司案件に携わってきました。
- その経験を踏まえて回転寿司の歴史・変遷をご紹介します。
目次
- 1. 回転寿司の誕生と広がり(1950年代〜1960年代)
- 1-1. 寿司コンベアの開発と回転寿司のはじまり
- 1-2. 椿本チエインと寿司皿
- 1-3. お茶の提供方法
- 1-4. 均一料金
- 1-5. 会計は自己申告だった
- 2. 日本初の回転寿司「元禄寿司」
- 2-1. 元禄寿司の草創期
- 2-2. 市場独占から分割統治
- 2-3. 回転寿司戦国時代
- 3. 外食産業の成長と競争
- 3-1. 外食産業全体の成長期
- 3-2. 回転寿司の転換期と競争の激化
- 4. 街中回転寿司の今
- 4-1. 板前の高齢化と人手不足
- 4-2. 郊外型回転寿司店の台頭
- 4-3. 新型コロナウイルスの影響による経営への打撃
- 5. 街中回転寿司のこれから(2024年以降)
- 5-1. 技術革新と自動化の導入
- 5-2. メニューの多様化と質の向上
- 5-3. 顧客サービスの向上
- 5-4. 地域密着型の戦略の採用
- 5-5. 新しいビジネスモデルの模索
- 6. 街中回転寿司の出店・店舗づくりで重要な視点
- 7. まとめ
1. 回転寿司の誕生と広がり(1950年代〜1960年代)
1-1. 寿司コンベアの開発と回転寿司のはじまり
- 日本の回転寿司文化に欠かせない寿司コンベアは、日本クレセントと椿本チエインの2社の協力により開発されました。
- チェーンで寿司コンベアのベルトを回転させ、寿司を運ぶという回転寿司の形式が誕生したのです。
- その後、この形式は日本国内外で広く普及し、寿司業界に革命をもたらすことになります。
- 因みに現在では、寿司コンベアはほぼ100%石川県で製造されています。

1-2. 椿本チエインと寿司皿・提供システムの進化
- 椿本チエインがコンベアに合う皿を合羽橋道具街で探していたときに見つけたおつまみ皿が、寿司皿の基準となりました。
- その後、形状は変わらず絵柄が進化し、醤油皿が導入されました。
- 最近では、プッシュ式醤油ボトルの普及に伴い、醤油皿が少なくなりつつあります。
1-3. お茶の提供方法
- 創業時のお茶の提供方法は、貯湯式湯沸かし器から茶こしを用いて一杯ずつ手入れし、コンベアに乗せて提供されていました。
- その後、サービスの進化として貯湯循環タンクが開発されました。
- このタンクは厨房に設置され、貯湯式湯沸かし器から茶こしでお湯を注ぎ、循環させることで絶え間なくお茶を提供することが可能となりました。
- 客はコンベアと一体型となったTOTOグラスフィラーからお茶を注いでいました。
- 因みにお茶の自動化を初めて導入したのは飯田橋の回転寿司でした。

1-4. 均一料金
- 回転寿司誕生後、均一価格で提供する店舗があらわれ、当時は50円という価格で営業していました。
- 提供のスタイルは回転する商品のみを提供する店舗と、回転する商品以外にも別途注文を受けて商品を提供する店舗と二分していました。
1-5. 会計は自己申告だった
- 自己申告のため食い逃げ客も多く、経営者は苦慮しました。
- 問題解決のため、板前が皿数を大声でレジに伝えるようになり、その後伝票発行のシステムが導入されました。
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2. 日本初の回転寿司「元禄寿司」
2-1. 元禄寿司の草創期
- 回転寿司の発祥は、1958年に東大阪で開店した「廻る元禄寿司 1号店」です。
- 世界初の回転寿司の経営者である白石義明氏は、回転寿司のコンベアを「コンベヤ旋廻食事台」、「コンベヤ附調理食台」として特許を取得しました。
- この特許の関係で、1978年まで回転寿司は「元禄寿司」のチェーン店しかありませんでした。
- 当時、コンベアの依頼を引き受けたのは石川県の石野製作所でした。
2-2. 市場独占から分割統治
- その後、元禄寿司は富士川を境に東西に分裂し、商標の使用権で争うかたちになります。
- 東は積極的にフランチャイズ展開を進め、西側へ元禄寿司商標の使用差し止めを行いましたが、結果として西側が「元禄寿司」の屋号を残し、東側は「平禄寿司」と屋号を改めることになりました。

2-3. 回転寿司戦国時代
- 東の平禄寿司の成長期には、東京をはじめ13都道県で120店舗を展開しました。(フランチャイズを含む)
- その一方で、元禄ブランドを脱退した各社が独自ブランドを展開していきます。
- かっぱ寿司、元気寿司、魚べい、がってん寿司、平禄寿司、もりいち、魚心、たいせい、元祖寿司、台所屋、天下寿司、大江戸などがその例です。回転寿司ランキングはどの屋号でしょうか。
- また、先述した回転寿司コンベアの特許が切れたことを皮切りに、回転寿司業界に多くの企業や経営者が参入してきました。
- この当時誕生した回転寿司は、スシロー・くら寿司・はま寿司・すしざんまい・にぎり長次郎・函館市場・大起水産回転寿司・アトムボーイ・すし銚子丸・海鮮三崎港・にぎりの徳兵衛などがあります。
- バブル時代とテナント料の高騰で、競合同士で物件や顧客の奪い合いが始まりました。回転寿司戦国時代です。
3. 外食産業の成長と競争
3-1. 外食産業全体の成長期
- 1972年から外食産業の成長期に入ります。
- マクドナルドやモスバーガーなどのファストフードや、ガストやロイヤルホストなどのファミリーレストランが登場し、日本全国に展開していきます。
- ドトールコーヒーなどのカフェも1980年以降全国に広まり、牛丼店も多様化と成長を遂げていきます。
- 回転寿司を含めたこれらの業態は50年以上にわたり成長を続けており、一方で消滅した業態も数多く存在しました。
3-2. 回転寿司の転換期と競争の激化
- 回転寿司の認知度が高まり、一定水準の好条件を持つ商圏では経営に失敗しない店舗が増え始めました。
- その結果、2014年頃から回転寿司業界は転換期を迎えます。
- 新たな挑戦を試みる店舗が登場し、均一価格からの脱却が始まりました。
- そして、均一価格店舗と複数価格店舗の間での競争が激化していきました。
- この競争の中で、グルメ志向の店舗が出現し、高価格設定により市場は3つの価格帯に分かれる形で成長しました。
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4. 街中回転寿司の今
4-1. 板前の高齢化と人手不足
- 板前の高齢化と人手不足は、街中回転寿司にとって深刻な課題です。
- 伝統的な回転寿司店では、板前の技術と経験が不可欠な役割を果たしていますが、高齢化により若手の育成が難しくなっています。
- また、人手不足のために新しい板前を確保することが困難であり、これが店舗の運営に影響を与えています。
- さらに、若い世代の間で板前という職業に対する関心が低下している側面もあります。
4-2. 郊外型回転寿司店の台頭
- 伝統的な街中の店舗に比べて、郊外型店舗はより広い敷地や駐車場を持ち、大規模な施設を提供しています。
- これにより、客層の拡大や利便性の向上が図られ、街中店舗との競争が激化しています。
- そして、郊外型店舗は新しい地域への進出が比較的容易であり、展開スピードが速いという特徴も持っています。
- このような状況下で、街中回転寿司は厳しい競争に直面しています。
4-3. 新型コロナウイルスの影響による経営への打撃
- 街中回転寿司に限ったものではありませんが、新型コロナウイルスは大きな打撃となりました。
- 営業時間の短縮や客足の減少、感染拡大への不安からの外食需要の低下などが、売上げに大きな影響を与えました。
- また、感染拡大防止のための対策費用の増加や、労働力不足による人件費の増大など、経営に関わる様々な面での課題が生じています。
- さらに、一時的な休業や営業制限により収益の急減や財務面での悪化も起こっており、多くの店舗が経営難に陥っています。
- 以上のことから、街中回転寿司は撤退や廃業が相次ぎ、残った路面店も郊外型店舗やテナント店舗へと移行している現状です。
5. 街中回転寿司のこれから(2024年以降)
- 街中回転寿司は、郊外型チェーンとは異なる条件下で経営判断を求められます。
- 人材・コスト・立地制約といった課題を前提に、今後重視すべき視点を整理します。
5-1. 技術革新と自動化の導入
- 人手不足や人件費高騰が常態化する中、街中回転寿司においても業務効率化は避けて通れません。
- 注文・会計のデジタル化や在庫管理のシステム化は、スタッフの負担軽減とオペレーションの安定につながります。
- 一方で、寿司の品質や店の魅力は最終的に板前の技術に支えられるため、自動化は「人を置き換える」ものではなく、「人の力を最大化するための補助」として捉えることが重要です。
- 技術の進歩を活用し、生産性を向上させるために回転寿司のDX(デジタルトランスフォーメーション)システムの構築・導入することが重要です。

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5-2. メニューの多様化と質の両立
- 価格競争に陥りやすい回転寿司業態において、街中店舗が選ばれる理由は「内容」と「納得感」にあります。
- 定番メニューの安定感に加え、季節性や地域性を取り入れた限定メニュー、ひと工夫ある一品を用意することで、来店動機をつくることができます。
- すべてを増やすのではなく、店舗規模やオペレーションに合った範囲で質を高めていく姿勢が求められます。

5-3. 顧客体験としてのサービス価値
- 街中回転寿司では、単なる「早くて安い」だけでなく、安心感や居心地の良さが評価されやすい傾向があります。
- 接客の丁寧さ、清潔感、店全体の雰囲気といった要素が、リピートにつながる重要な要因となります。
- 限られた人員でも実現できるサービス設計を行い、無理のない形で顧客満足度を高めていくことが現実的です。
5-4. 地域との関係性を活かした運営
- 街中立地では、周辺住民や近隣ワーカーとの関係性が店舗の安定経営を左右します。
- 地元客の利用を前提とした価格設定やメニュー構成、地域イベントへの関わりなど、日常的に使われる店づくりが重要です。
- 観光客向けに振り切るのではなく、「この街にある理由」を意識した運営が、長期的な支持につながります。
5-5. 柔軟な業態・サービスの検討
- 店内飲食に限らず、テイクアウトやデリバリーサービスの拡充、イベントやパーティー向けのサービスの提供など、立地や客層に合わせた柔軟なサービス展開も検討余地があります。
- ただし、すべてを取り入れるのではなく、店舗規模・人員・動線との相性を見極めることが前提です。
- 街中回転寿司では、「できることを増やす」よりも「無理なく続けられる形を選ぶ」判断が重要になります。
6. 街中回転寿司の出店・店舗づくりで重要な視点
- 街中回転寿司は、郊外型チェーンと同じ考え方では成立しません。
- 立地制約を前提に、「成立条件をどう空間に落とし込むか」が店舗づくりの要点になります。
6-1. 立地特性を踏まえた店舗計画
- 街中立地では、目的来店よりも「ついで利用」「日常利用」が中心になります。
- 通勤・通学動線、周辺飲食店の密度、昼夜の人流差などを踏まえ、この場所で選ばれる理由を明確にした計画が不可欠です。
- 立地に合わない席数や業態設定は、運営負荷を高める要因になります。
6-2. 回転率と居心地の現実的なバランス
- 街中店舗では回転率が重視されがちですが、短時間利用だけを想定すると客層が限定されます。
- カウンター構成、通路幅、照明計画などにより、滞在時間の異なる利用者を共存させる設計が重要です。
- 無理に回転率を追うのではなく、立地と客層に合った「適正な回転」を見極める視点が求められます。
6-3. 街並みに馴染みつつ印象に残る外観
- 大型看板に頼れない街中回転寿司では、外観そのものが集客装置になります。
- 素材感や色使い、間口の見せ方によって、周囲に溶け込みつつも業態が伝わるデザインが必要です。
- 過度な主張よりも、「入りやすさ」と「安心感」を与える外観が、日常利用につながります。
6-4. チェーン型との差別化につながる空間づくり
- 街中回転寿司では、価格やスピードだけでなく、体験や雰囲気が選択理由になります。
- カウンターの距離感、視線の抜け、内装素材の選定など、空間そのものがブランドになる設計視点が欠かせません。
- 結果として、店舗の記憶性や再訪意欲を高める要素となります。
7. まとめ
- 街中回転寿司の過去から現在までの様々な段階での挑戦や変化、そしてこれからの展望について考察してきました。
- 技術革新やメニュー・サービスの向上、地域密着型の戦略の採用、新しいビジネスモデルの模索など、多くの可能性が提示されました。
- 街中回転寿司が直面する課題に対処しつつ、新たな展開を見据えることで、この業態が未来に向けてさらなる発展を遂げることを期待しています。
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